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☆TAKISHITA RYO Official Blog ☆

岡本太郎 の絵が嫌いだった。(岡本太郎生誕100年展 より )【原題「対極しているを感じる」】

2022/05/14
 

2011-04-30 11:01:03
 

 
岡本太郎の絵が嫌いだった。
 

引き裂かれた血のような
引っかき傷やドロドロした色
 

いやらしいくらいの黄色や
緑やケバケバした、原色。
 

泥臭い青。
主張しドス黒く蛇行する輪郭。魚の目玉。
めちゃくちゃグチャグチャ。
 

そんな僕が、
何故、岡本太郎作品をこんなに好きになったのか。

 

2006年くらいだったと思う。
初めて本物の絵画をみたのは、
稽古場の近く川崎にある岡本太郎美術館。

 

20代前半の頃に読んだ
「自分の中に毒を持て」は、とても芝居をやり始めた
僕には特に奮起させられた本だったので作品には興味があった。

 

「下手なら、むしろ下手こそいいじゃないか」

 

子供の頃テレビでみた岡本太郎は変なおじいちゃんだったけど、

 

本の中の、その人は、闘う情熱の人だった。

 

「結果がまずくいこうがいくまいかかまわない。
むしろまずくいった方が面白いんだと考えて、
自分の運命を賭けていけば、命がパッと開くじゃないか」

だが本物の岡本太郎作品の絵に立つと

 

 

正直、やっぱり

 

好きになれない絵だった。
観ているうちに気持ちがわるくなってくる。メチャクチャぐちゃぐちゃ。
デキの悪い漫画絵みたいだ。
 

なぜこうも気持ちをエグるのだろう
掻き乱されてしまうのだろうか。
 

そんな中、ツルツルした
立体感作品は違った
 

足を止めて眺めてしまう。
ふと触りたくなってしまう。

太郎作品でも、立体の造形の作品群。

 

絵画で敵意を感じた原色が、
立体作品となると、屈託なく明るい。

 

 

プラスチックのようにピカピカした表面。やわらかみのある曲線。
とくに白い作品の純粋なしなやかさ。

 

 

「拒否する椅子」なんて題名よりも、笑える。

 

 

 

そういえば
S.W.A.T!で「真田十勇士」を演った
青山円形劇場の入り口にあった
「こどもの木」という太郎の作品に

たくさんのヘン顔に、楽屋入りの時
本番への勇気をもらった事がじやないか

 

 

太郎作品に「笑い」を発見した。
なにか好きになれそうな気がした。

 

さっき見た絵画作品でも
「重工業」は、吹き出した。

 

強烈な色彩の真ん中、
宙に浮いた長ネギはとてもシュールだ。
あの生活感は、なんだ?

画面中央にあるリアルに描かれた長ネギに
思わず笑ってしまった。

 

おなじみ「太陽の塔」は、
浦沢直樹の二十世紀少年で
そっくりなロボットがでてきてたのもあって
なるほどねと、思った。
(のちに、太陽の塔にハマるとは本人も想像していない)

 

このあと僕は、
太郎作品にものすごく惹かれ
芸術というものを身近に感じた初めてのアート体験をする。

 

一通りみたあと入り口の円形エントランスに戻ってきた。

 

その白いカタマリの作品は、ホールの中心に、あった。

さっきは目もくれず気づかなかったが、
美術館を出る前に、少し観ることにした。

とても気になるものが、まさか入り口のエントランスに見つかるとは。

こっちに立つと受付のお姉さんが見えなくなるから、わりと大きな作品だ。

 

二つの大きな白いカタマリが寄りそうように、並んでいる。

 

しかし、くっきりと蛇行するような溝(みぞ)が二つの間に走っている。
その「すきま」にある交わらない緊張感は、ある種の絶望感がある。
さっき映像ルームでも言ってた「対極主義」だろう。
 

そのくせ、このふたつのぽわーんとした存在はなんだろう。
 

「交わらない、すきまの絶望感」を感じながらグルりと巡ってみた。
 

しかし何度かまわっていると、あることに気がつく。
そして「わーっ」と思う。
 

ふたつの存在の丘陵がある角度で見ると、
たがいの輪郭の曲線が、かさなる部分があるのだ。
けっして和解ではない。しかし 寄り添うように、シンクロしている。

 

このやわらかい稜線のある一瞬の奇跡のような重なりと交わり…!

「わわわー」だ。

この動かざる石のような大きさと重みと堅さ。
それは自分と世界と他者の動かざる関係。
角度で溝(みぞ)は見えなくはなるが、絶望的に在(あ)るのだ。
 

しかし、シンクロする
「やわらかい一瞬の奇跡」もある。
それは男と女であり、自分と他人であり 世界と個人だ。

 

僕は最初から、もう一度、全部の作品を見て回った。
 

絵画は相変わらず好きにはなれなかった。

 

しかし思ったのは
絵画は二次元の平面から色も筆も跳びだそうと、もがいているようだということだ。
 

だが立体はすでに「在る」のだ。飛び出す必要がない。
立体作品のやさしさは、太郎作品の晩年の作かと思っていたが割と早い時期に創り出していた。
 

立体の余裕だろうか。
むしろ、僕は、その存在観(そんざいかん)にまるごと、太郎さんの「対極している」を感じた。
 

作品は意見でも解釈でもないけど、なにか心に、腑に、おさまりきれない興奮を覚えたのだ。
 

それは、「文字ではない哲学」だ。
それは絵でも文章でもない、
「存在」そのものの表現だ。

 

 

 

この春、
開催している生誕100年の岡本太郎展に、行ってきた。
 

もしかしたら、
あの白い作品に出会えるかもしれない。
作品の名前だけでも、知りたかった。

 

美術館が祭りのようなにぎわいだ。
グッズはなんだか露店みたいだし、美術館の外じゃ軽トラックがアイスクリームを売っている。
海洋堂の太郎ガチャガチャ玩具は日傘をさしながら長蛇の列だ。
美術館としても、このお祭りは大当たりだ。

 

呪詛をもった魔術的な祭儀の場になったかは、わからないが
日本人は並ぶの好きだし
「祭り」という「ハレ」の空間になっている。
 

芸術がお飾りの威厳っタラしいものではなく
遊びのように近い、親しみのある空間になっていた。
まさに、祝祭だ。

 
みんなが、楽しんでいる。

 

この展示とか盛り上がりが
岡本太郎の作品よりも「生き方」にスポットがあたっているように感じるのは
太郎さんが亡くなってからも、「太郎さんの語るべきを」積み重ねてきた
一緒に付き添っていた岡本敏子さんの功績だろう。

 

絵画をじっくり観た。

 
それまで圧倒されていた色や混沌や爆発の太郎さんと、
やっと対面できるようになってきたのかもしれない

太郎の絵と「対極」できただろうか。

 

しかし企画展示の目の絵だけを集めた「目の部屋」の展示は、やはり…すぐ出てしまった。
あんなに太郎さんニラまれたら裸にされてしまうのだ。

 

それにしても、見つからない。あの白い作品。
初めてみた、川崎のあの白い作品の純粋なしなやかさ。

わかりやすく、度し難いことこそ、芸術だ。

また、見たい。

 

名前は憶えていないし、前行ったときは、違う展示になっていたが、
あれから、公共のビルとか公園のわけわかんない彫刻とかを、
見るようになったのは、太郎さんのおかげだ。

 

結局、白い作品の名も知れず、出会えなかった。
目録を見回したが国立近代美術館の展示にはなかった。

 

出口のところにくじ引きのような箱があり
ひとつ引いてみる事にする
開くと太郎さんの言葉が、書いてある。

 

「何でもないことに筋を通すことのほうが、カッコいい冒険よりもはるかに難しい」

 

他人にとって
何でもないことが
自分にとっては、ものすごく大事で、それを貫いていけ

 

虚無に、開け、孤独
白く、爆発、音もなく、闇の中
放つ光を、モリモリ食べて、生き抜け

 

 

とてつもなく、
ほっぺたを引っ叩く、勇気をもらった。

 

 

 

 

追記
それから、
ふたたび川崎の岡本太郎美術館に行ったとき
あの白い作品が、

「愛」と呼ばれる作品だと知る。

 

 

愛という甘い題名とは遠く
未だに強烈で冷静な客観性を感じる

 

二つの姿を眺める太郎さんに、
自身を見つめる姿を、想像する

 
これを見つめる存在が、
主役だと感じたからだ。

 

作品には、存在はなく
見たものがあったとき、初めて個が現れる

そんなことを思ったからだ

 

両親である
岡本一平と岡本かの子
その間の岡本太郎は、観る存在だ。

造形はされてない
存在するもの。

 

その間には、なにが見えるのだろう。

作ったら忘れてしまう
太郎さんだ。

 

どこにも語られていない。僕の妄想だ。

 

 

対極の空間に、
我を捨てた無の
あけっぴろげな放出の
瞬間にこそ
 

自分が現れる

 

「愛」は
相変わらず緊張に満ち、やさしく寄り添って、

 

僕も、そこに立って
いた。

 

2022.04.29

 

 

 

 

この記事を書いている人 - WRITER -
俳優 YouTubeダーさん  プロデュース公演に参加したり若手作家たちの作品にも精力的に多数参加。そのBEEPでDEEPな交友関係はかなり広い。YouTubeチャンネルは保育士さんや子供たちに大人気。また国民的テーマパークのショーアクターとしての実績も長い。 絶対青春コメディ sing!!! 九州公演 2022/01.14〜15 劇団S.W.A.T!公演「ある超能力者の記録」2022/02.10~20 など
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