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☆TAKISHITA RYO Official Blog ☆

真夜中の果実

2022/05/10
 

真夜中の果実

2011-07-04 11:34:30
 

喉が、とても渇いた。
 

うっすらとまどろみ、
汗をぐっしょり吸い込んだTシャツは生あたたかく、ここは自分の部屋だ。
 

そばに置いてある水に手をやると
軽い感触が空をつかむようにペットボトルが倒れた。
 

暑い夜に
500ミリリットルの中身は、ほとんど飲んでしまった。
窓は開いているが、網戸に風はない。
 

少し離れたコンセントの簡易タイマーを
一時間くらいねじり、
古い小さな扇風機をまわす。
 

冷蔵庫に、枇杷(びわ)があったはずだ。
 

Tシャツを新しいのに替えながら台所にいくと、
冷蔵庫のひんやりしたやわらかい明かりの中に、
小さな一房があった。
 

 

ひねった蛇口のぬるい水は
冷えた実を枝のまま、
ジャバジャバと濡らす。
庭の枇杷の季節も、そろそろ終わる。
 

 

小皿にのせて、部屋の灯りをつけた。
うちの白熱球は電球の芯を燃やすヤツではない。
蛍光灯をよじって丸めた省エネ型の光が
 

ボーっとゆっくりと照らしはじめた。

 

 

 

しずくをつけた、枇杷を眺める。
 

頬を赤らめたような、うぶ毛のほんのりとした輝きは、
渇きの征服欲と独占欲を煽るようだ。
 

たまらず思い切って、
 

ひとつもぎ、うす皮をつまんでめくると、
蜜をしっとりと光らせながら果肉が、
芳醇な柔肌をみせた。
 

皮が張り付いた感じは、まだ若い実だ。
口に含むと、汁が甘くひろがり、
酸っぱさが喉を潤す。ツンとくる酸味が、

 

夜中の渇きに丁度いい。
黒い種をプッと吹く。
 

 

指をベタつかせながら、もうひとつ、もうひとつと、つまんでめくり、
小さな果物の肉汁を味わい、種を吐き出す。
 

 

皮がスルリと剥けた。
 

これは、甘い実だ。
 

もったいなく
ゆっくりと、まるまる
すべて肌けさせた。
 

濡れたまんまの、つややかさ。
 

口の中に、放り込む。
やはり、甘い。
 

硬い種のあった箇所に舌を這わせると、
そのツルツルとしたくぼみに蜜がやどり、
なんともいえない芳ばしさを感じるのだ。
 

熟れてやわらかみを帯びた成熟の落ち着きだ。
 

果汁のわずかな匂いは、青い草と、夏の芳香がする。
 

 

 

盛られた黒い種の山
よれた果実の皮のあと。
 

小さな扇風機は、静かに首を振るだけだ。

 

 

夜の果実の、余韻のままに
 

灯りを消して
また、眠ろう。

 

 

 

 

 

この記事を書いている人 - WRITER -
俳優 YouTubeダーさん  プロデュース公演に参加したり若手作家たちの作品にも精力的に多数参加。そのBEEPでDEEPな交友関係はかなり広い。YouTubeチャンネルは保育士さんや子供たちに大人気。また国民的テーマパークのショーアクターとしての実績も長い。 絶対青春コメディ sing!!! 九州公演 2022/01.14〜15 劇団S.W.A.T!公演「ある超能力者の記録」2022/02.10~20 など
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